診療方針
卒業から三十数年間の臨床を経て、私が心がけていることは、
名医ではなく良医になろうということです。
私も、卒業当初は、
とにかく一人前の、そして上手な歯医者になりたい、とばかり思っていました。
いわゆる名医を目指していたわけです。
新米医師にとって、それはとても自然で大切な行動だと思います。
しかし、歯の治療というものは、
患者さんの口の中だけを診ていてはうまくいきません。
患者さんの考え方や生活背景、環境、今までの治療経過などを考慮しながら
治療方法を選んでいく必要があります。
私は患者さんひとりひとりにとって最良の治療を目指すために
以下のようなことに心がけて、治療を進めていきたいと思っています。
患者さんひとりひとりのデンタルIQを高める治療
デンタルIQという言葉をご存知でしょうか。
歯の病気や予防に関する知識や、理解があるほどデンタルIQは高いと言えます。
口の中が痛くなってから、慌ててそこだけ治して終わりではなく、
お口の健康に関心を持ち、定期的に歯科医院に通って予防に努め、
今より、さらに良い状態に変えていこう、良い状態を維持していこうという
意識が大事です。
今までの歯の治療は”対症療法”が中心でした。
・むし歯がある → 歯を削ってつめる
・歯が痛む → 歯の神経を取る
・歯肉が腫れる → 化膿止めを飲む
・歯肉から血がでる → 歯石をとる
その結果、どうでしょうか?
直したへりから、また新たにむし歯ができる。
神経を取った歯が化膿してくる。
歯石をとってもまたすぐに汚れてくる。
つまり治療の繰り返しです。
「なぜ病気になってしまったのか」という原因を除去しなければ
また同じ状況になり、治療を繰り返すことになってしまいます。
いずれ歯を抜き、入れ歯を使うことになってしまうのです。
この悪循環を断ち切るためには、正しい知識を身につけ、
実行に移すことが必要になります。
中村歯科では治療、歯のクリーニング中に、
患者さんの今の状態に合わせて説明を行ったり、
待合室にポスターを貼って情報を提供するようにしています。
保険と自費の使い分け
患者さんひとりひとりに合った治療を提供するよう心がけています。
現状の保険制度を上手く利用して、
自費診療と保険診療のバランスのとれた治療を目指します。
患者さんそれぞれに症状が違い、いくつもの治療方法や材料があるため
すべての人が満足できるような保険制度は望めません。
だからといって、すべての人が自費治療のみで治療することは不可能でしょう。
現在の症状に対する最高の治療が、その患者さんにとって最良の治療とは限りません。
どういう治療方法を選択するか、
自費にするか保険にするかなどは、分からないことも多いと思います。
どうぞお気軽にご相談ください。
むし歯について
人間には自然な治癒力というものがあります。
例えば、テレビなどで「歯の再石灰化」という言葉をよく耳にします。
穴があくまで進行したむし歯は自然治癒は見込めません。
しかし、歯の表面が酸に侵されて少し白濁した状態(脱灰といいます)までは、
唾液の作用などで元通りになることが解っています。
これを歯の再石灰化と言います。
歯はむし歯になったからといって、やたらに削ってしまえばいいとは限りません。
ある程度の年齢ならば、環境が変わらない限り急激にむし歯は進行しませんし、
健康な歯質は多いほどメリットも大きいです。
積極的に経過観察するのも治療のひとつです。
健診に通っていれば、経過観察している歯を定期的にチェックし、
治療が必要になったタイミングで治療を受けることができます。
また、
なるべく削らないということは治療方法を変えることでも実行できます。
むし歯を削って型を取り金属を詰める、という従来の方法は、
歴史のあるしっかりとした治療法です。
ただ、金属をはめこまなければならないため、
むし歯になっていない部分も余分に削る必要がありました。
現在は、レジンやアイオノマーなどに代表される材料が改良され、
むし歯の部分だけを削り、その部分にこれらを詰めるという方法が、
金属に取って代わりつつあります。
また、非常に深く重症なむし歯の場合でも、
なるべく神経(歯髄)を取らない方法も、場合によって取り入れています。
当院では、
・病気の早期発見
・むし歯、歯周病の予防、
つまり「なるべく削らない」「なるべく抜かない」治療を目指しています。
歯周病について
歯周病に関しては、歯ぐきが腫れる、血が出るなどの症状が出て初めて
歯科医院に来院される患者さんがほとんどだと思います。
歯周病は、症状がでた時にはすでに中期を過ぎていることが多く、
そこまで進行してしまうと、治療をしても元のように戻ることは難しい疾患です。
高血圧や糖尿病のように慢性的になりやすい病気なのです。
早期の治療を心がけ、ブラッシング指導、歯石除去を中心に、
自然な治癒力を引き出すことをめざしています。
詳しくは→歯周病ケアについて
インプラントについて
中村歯科ではインプラント治療も行っています。
インプラント治療とは、失ってしまった歯の代わりにインプラント(人工歯根)を
顎の骨に埋め込み、それを土台として歯の代用品を作る治療法です。
歯を失ってしまった部分に
ブリッジを入れるか、入れ歯を作るか、インプラントを埋めるかは
年齢や、顎の骨の形、生活習慣などで変わってきます。
以下のページでは、中村歯科でのインプラント治療の考え方や
他の治療法との利点・欠点の比較が記載してあります。
詳しくは→インプラントについて
歯科の治療に関しては分からないことも多いと思います。
どうぞお気軽にご相談ください。
院長 中村圭一